3/09/2013

After the Hurricane

ELMARIT-R 2.8/28mm

 去年の6月、メキシコシティから次に住む予定だった、太平洋沿いにあるオアハカ州のプエルトエスコンディードに向う前日、太平洋側に強力なハリケーンカルロッタが上陸した。

 そのとき、滞在していた宿の主人が、次の予約客が偶然にもプエルトエスコンディードから来る予定だったのだが、飛行機がハリケーンで欠航し来れなくなったと連絡してきたが、お前達はそんな所に行けるのか?と心配してくれ、バス会社にまでわざわざ連絡して運行するか確認してくれた。不思議と予約したバスの予定に変更はなく運行するという事だったので、ハリケーンといっても風が強い位でそんなに影響ないだろうと想像していた。

 メキシコシティからプエルトエスコンディードは700km以上離れていて、その時メキシコシティは雨だったが、普段通りの小雨という感じで、そんなに凄いハリケーンが来ているとは思いもしなかった。なので、機材の詰まったスーツケース型カメラバッグをバス会社の人に大きすぎて車内に持ち込めないといわれた時も、本当は客席に持ち込みたかったのだが、その後2,3回交渉して駄目だったので、まさか何も起きないだろうと浅はかに思い預けてしまった。

 ところが、この時に浅はかにも預けてしまった事を後でとても後悔した。

 予約していたバスは夜行で6時間ほどかけて太平洋側に出て、その後太平洋岸沿いを走るもので、2年前にも一度乗った事があり、その際にハイウェイ沿いにとても綺麗で緑豊かでのどかな景色が続くのを確認していたので、そのような風景を朝起きたら撮ろうと心に決めていた。

 ところが、次の日の朝早く起きた時、実際に広がっていた景色は、ものすごい雨で川の水が冠水し、もはや何処が道路なのかも解らないといった、前回とは真逆の破壊的な景色だった。ハイウェイは茶色い濁流の下に線がかろうじて透けて見えているという様な状態で、脇の牧草地帯は海の様になってしまっていて、元の景色を知らなければ水辺を走るハイウェイだとしか思えない光景だった。

 そのような状態ではあったのだけれど、機材に関しては、バスの車高は高いし、荷室には上と横からは雨が決して入らない構造になっているのを確認していたのでその時はまだ安心していた。ところが、徐々に冠水した川に近づくにつれ道路の水かさが増し、写真の様に最終的には1m以上冠水し標識の一部と両サイドの鉄条網(柵)の一番上の部分しか見えない様になってしまい、バスの荷室も水の中に浸かってしまい。浸水するかどうかは運次第という事になってしまった。
 
 この時に、機材のバックはなにをしてでも客室に持って来るべきだったし、後悔先に立たずという格言はその通りだなと思った。

 たぶん橋と思われる所に着いた時の川の冠水は凄い勢いで、何処から何処までがが道路か解らないし、凄い水流で流される危険があるので、大抵の車は浸水していない安全地帯に車を避難させていた。しかし、何故か驚くべき事に、このバスドライバーはもはや道路が全く見えていないにも関わらず、まったく迷いを見せず、荷室の事も全く気にせず、勘だけをたよりに、まるで水陸両用のバスを運転しているかの様に両サイドの柵だけを目印に濁流の中を進んでいった。このとき窓の外に波を立てながら進んで行く景色はまるで遊覧船に乗っているかのようだった。その時の心境はもはや荷物の事よりも、とにかく無事に対岸に着いて欲しいという事ばかり考えていたが、荷室は完全に水に浸かっていたので、いざ渡りきってしまうと、なぜ浸水の恐れがあるのに乗客に確認しないのかと思ったし、なぜ大事なものを手の届かない所に預けたんだと自分に腹が立った。荷物はすぐ下にあるのに状態を確認できない事が本当にもどかしかった。

 結果的に荷物がどうなったかというと、大事なレンズ、カメラ等はビニールパッキンで包んで対策してあったのと、ローリングケースのハンドル分の厚み分のかさ上げのおかげで、内部の四隅が少し湿った程度で、他の着替え等の入っていたリュックに比べとても少ない被害で済んだ。この時のバッグはthinkTANKphotoのAirport TakeOffで、軽くてリュックにもなり、ローリングケースとしても使えるという事でこの旅用に購入したものだった。このバッグは外鞄とディバイダーケースの2重構造になっていて、外周の素材と、ディバイダーケースの裏に防水の加工がしてあるので布製にしては防水性が高い。そのおかげで、この時は縫い目からのみの最小限の浸水で済んだので、thinkTANKphoto(Airport TakeOff)は本当に良く作られたバッグだなと感じた。

 この経験から、人生は何が起こるか解らないので、これからは機材等大事なものは常に身近に置いておき、きちんと自分で責任をとれる様に心がける様にしたいと思う。







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